ミャンマー産植物と海綿からのHIV多機能性タンパク質阻害活性物質の探索

  • WIN, NWET (研究代表者)

プロジェクトの詳細

研究開始時の研究の概要

エイズの薬物療法においては,HIVの逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬等が用いられているが,最近では,現治療薬に対する耐性株も出現しており,新たな分子に作用する抗HIV薬の開発が求められている。本研究では,新規エイズ治療薬の開発を指向し,HIV-1の感染初期に必須なアクセサリータンパク質であるVprに対して阻害活性を示す天然化合物をミャンマーの薬用植物や海綿等から単離することに取り組む。

研究成果の概要

新たな作用機序を有するHIV治療薬の開発に有用なシードを得ることを目的とし,ミャンマーの植物や海綿からHIVの多機能性タンパク質Vprに対して阻害活性を示す化合物の探索を試みた。その結果,ミャンマー産植物から8種の新規を含む計13種のイソピマラン型ジテルペノイドの単離に成功し,それらの中の4種がコントロールと同等のVpr阻害活性を有することを明らかにした。一方,ミャンマー産海綿からのVpr阻害活性化合物の探索においては,1種の新規を含む計5種のピロロラクタムを単離することに成功し,そのうちの1種がコントロールと同等のVpr阻害活性を示すことを明らかにした。

研究成果の学術的意義や社会的意義

科学技術が格段に進歩した今日にあっても医薬品の60%は未だ天然物の化学構造由来である。悪性腫瘍や神経疾患、自己免疫疾患に対する治療薬の早期開発等が求められる現代にあって、未知の天然生物活性化合物を見いだし、創薬へと展開していくことは、医薬品開発において未だ重要な位置を占める。今回我々は,新規HIV治療薬の開発を指向し,ミャンマー産天然資源から化合物の単離を行うことで,HIVの多機能性タンパク質Vprに対して阻害活性を示す天然阻害剤を複数見いだすに至った。今後,これらの情報が新規HIV治療薬の開発に役立つことが期待される。
ステータス終了
有効開始/終了日2019/08/302021/03/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥2,860,000

キーワード

  • 植物
  • 海綿
  • 生物活性