プロジェクトの詳細
研究概要
種々のコンプレクサン配位子を使って3価バナジウム錯体を合成し,その可視吸収スペクトルのpH依存性から水溶液内における二核錯体形成の有無を調べた.その結果,加水分解により二核錯体を与えるグループと与えないグループがあることがわかった.1,3-pdta,edds,eddda錯体は前者に属し,nta,edta,dtpa錯体などは後者に属する.この性質の違いの原因を探ったところ,単核錯体の構造の違いがオキソ架橋二核錯体形成能の違いが原因であることが分かった.すなわち,X線結晶構造解析などにより単核錯体の構造を調べたところ、前者のグループに属する錯体は6配位八面体構造をとり,一方,後者の錯体は7配位構造をとることがわかった.この単核錯体の配位数の違いによる二核錯体形成能の有無は,オキソ架橋錯体形成反応の中間体として,会合機構によりジヒドロキソ架橋錯体が形成されると仮定することにより説明できる.すなわち,単核錯体が7配位の場合,中間体は不安定な8配位となりオキソ架橋二核錯体を生じ得ないものと解釈できる.
ステータス | 終了 |
---|---|
有効開始/終了日 | 1992/01/01 → 1993/12/31 |
資金調達
- Japan Society for the Promotion of Science: ¥1,900,000
キーワード
- バナジウム錯体
- 二核錯体
- コンプレクサン
- ラマンスペクトル
- 分光光度滴定
- 平衡定数
- vanadium(III) complexes
- dinuclear complexes
- complexon