それらを実現するために、非晶質相の結合状態および複合膜の微細組織と、高温における金属基板との反応性との関係を調べることにより, ナノ複相構造膜の高温劣化機構を解明する。ついで、非晶質相の結合状態と遷移金属窒化物相の分散状態(微細組織)を制御することにより、高温でも化学的に安定な複合組織を得る。
CrN/SiCNナノ複相構造膜の高温熱処理による劣化メカニズムを解明した。膜中に鉄が拡散すると非晶質SiCN相が分解されると共に、CrN微結晶が粗大化し、膜の硬度や耐酸化性が著しく低下する。炭化物生成自由エネルギーの観点からSiCN相の分解を抑制できる元素を見出した。
社会的意義:金属加工で用いられる硬質薄膜では、従来の高硬度と優れた耐酸化性という指標だけでは不十分であり、被削材等を構成する金属元素との反応の抑制が重要であることを示した。得られた成果に基づき、高硬度(40GPa)・高耐酸化性(1200K×1h)に加えて化学的安定性にも優れた、より実用性に優れたナノ複相構造膜を提案した。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2021/04/01 → 2024/03/31 |
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