トリチウム計測用質量分析計の開発

  • WATANABE, Kimiaki (研究代表者)
  • NAKAMURA, Shizuo (研究分担者)
  • 芦田, 完 (研究分担者)
  • MATSUYAMA, Masao (研究分担者)
  • HAYSHI, Toshio (研究分担者)

プロジェクトの詳細

研究概要

製作したT用質量分析計に0.1Torr・sec(接触圧:1×10^<-6>Torr)のトリチウムを接触させた. その結果, ノイズレベルは1×10^<-9>A, ノイズ巾は5×10^<-11>Aに上昇し, 測定上の傷害が生じた. 但し, これらの値は標準型の質量分析計(ULVAC,MSQ-150A)で測定された傷害の約1/3の値である. これは真空容器及び質量分析計の表面に施した金コーティングの効果によるものと考えられる. 光照射により, このノイズレベルは2×10^<-10>A, 巾は1.5×10^<-11>Aまで減少した. これらの値は標準型の約1/15で, 今回製作した質量分析計はin-situに吸着トリチウムを除去でき, ノイズを低減できることが知られた. しかしながら, 完全なノイズ除去はできなかった. この原因は光照射により脱離したトリチウム水蒸気の光照射停止による二次電子増倍管表面などへの再吸着, あるいは紫外線ランプが低出力なために光照射が不均一になり, トリチウム脱離が不充分な部分ができるためである. これらの問題は水蒸気に対する排気速度の大きい真空ポンプを用いること, 紫外線ランプの出力を上げその数を増やすこと, 光照射時に影にある部分を最小限にすることにより解決できる. ちなみに二次電子増倍管のシールド円筒を茶筒タイプからメッシュタイプに変更したところ残留ノイズは半減した. 即ち, 本研究で開発したT用質量分析計は高濃度トリチウムに長期間接触させられた場合でもトリチウムの吸着量が少なく, さらにこれをin-situに除去でき, ノイズ傷害を克服できる. 従って, 核融合実験装置を初めとする様々な分野における高濃度トリチウムの測定に有効である.
ステータス終了
有効開始/終了日1986/01/011987/12/31

資金調達

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥10,800,000

キーワード

  • トリチウム
  • 質量分析計
  • 計測
  • 汚染
  • 除染
  • 光照射
  • ノイズレベル
  • ノイズ巾
  • ノイズ幅
  • Tritium
  • Mass spectrometer
  • Measuring technique
  • Contamination
  • Decontamination
  • Noise level Noise width