母子関係等の個体関係をもつ特定の個体に対する親近性(個人的親近性)は,顔の認知情報処理において非常に重要であることが既に示されてきたが,その神経基盤はなお不明な点が多く残されている.本研究では,後部帯状回皮質,脳梁膨大後部皮質および傍嗅皮質のニューロン集団における,顔の個人的親近性の表現様式を明確にすることを目的に,固視課題遂行中のサルの各領域から慢性的単一ニューロン活動記録を行った.その結果,これらいずれの領域からも個人的親近性のある顔の呈示に対して選択的な活動を示すニューロンが記録された.以上の結果は,これらの辺縁皮質が顔の個人的親近性の情報処理に重要であることを示唆する.