本研究では抗生物質生産に関与する生合成酵素のうち,遺伝子解析から抗生物質の基本骨格を形成すると予想された酵素をターゲットとした.本酵素を精製して実際に基本骨格を形成する酵素であることを立証したのは本研究がはじめてである.また,本研究から,本酵素は一つの化合物のみを限定して化学変換する酵素ではなく,受け入れる化合物には一定の許容範囲が存在することが立証された.今後,この基質認識機構の特徴を活かし,本酵素の機能を改変することで全く新規な骨格を有する有用化合物を創出する応用研究へと発展させることで,社会問題である感染症やガンなどに対する医薬品等への展開を目指す.