研究代表者はこれまでに,求核剤によるスピロシクロプロパンの開裂ー環化反応を用いる様々な二環式複素環の構築法を開発してきた。本研究では,求核剤となる求核部位と脱離基となる求電子部位を併せもつリンイリドや硫黄イリドによるスピロシクロプロパンの開裂ー環化反応を用いる炭素環構築法を開発する。また,得られた環化体から,医薬品や有機材料として利用されている二環式化合物インダンやアズレン,さらに従来法では合成が困難な多置換シクロブタンを合成する。
求核剤となる求核部位と脱離基となる求電子部位を併せもつイリドは、古くから有機合成反応に用いられてきた反応剤であり、様々なビルディングブロックの構築に利用されてきた。これまでにシクロプロパンの開裂ー環化反応による複素環の構築については数多くの報告例があるが、炭素環の構築例はほとんどなく、特に二環式炭素環の構築例は全くなかった。これらの背景のもと、本研究では、スピロシクロプロパンにリンイリドや硫黄イリドを炭素求核剤として用いる反応を検討し、シクロプロパンの開裂ー環化反応による炭素環構築を検討した。その結果、二環式化合物インダン、アズレンおよびスピロシクロブタンの新規合成法の開発に成功した。
社会的意義として,これらの合成法により得られる炭素環化合物であるインダン、アズレンおよびシクロブタンは医薬品や有機材料に用いられている骨格であることから、本合成法は医薬品や有機材料の開発研究の進展に貢献できる。
ステータス | 終了 |
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有効開始/終了日 | 2021/04/01 → 2024/03/31 |
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