Abstract
症例は49歳女性。医原性に十二指腸穿孔を来たし,後腹膜気腫,後腹膜炎を発症した。絶食とし経鼻胃管挿入にて減圧を行い,プロトンポンプ阻害薬,セフォペラゾンの投与にて保存的に加療したところ腹膜炎の症状は軽減したが,その後,MRSA 腸炎を疑う病態を発症しショック,急性腎不全,急性呼吸促迫症候群を併発した。バンコマイシンの経口投与後も症状は改善しなかったため高熱と腹満を目標に小承気湯(大黄3g 枳実4g 厚朴4g)の投与を開始したところ,速やかに大量の排便を認め,解熱傾向となり,血圧の安定と呼吸不全の軽快が得られ,全身状態の改善を得ることができた。近年,入院を要するような重症感染症に対して漢方治療が行われる機会は少なくなっているが,重症腸管感染症に対する漢方治療の併用は有用である可能性があり,積極的に行われるべきであると考える。
Translated title of the contribution | Kampo Treatment Experience in a Case of Suspected MRSA Infection Related Enteritis Complicated by ARDS and Shock |
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Original language | Japanese |
Pages (from-to) | 94-99 |
Number of pages | 6 |
Journal | 日本東洋医学雑誌 |
Volume | 65 |
Issue number | 2 |
DOIs | |
State | Published - 2014 |