外来生物問題を考える―予防原則の観点から

Research output: Contribution to journalArticle

Abstract

2005年6月に施行されたいわゆる外来生物法は、そのような法律が無かった日本の実情に照らせば画期的なものであったが、人間社会と環境とのかかわりを方向づける基本原則としての「予防原則」の観点からみれば、重大な問題点があると言わざるをえない。本稿では、外来生物の性質および日本の地理的条件を勘案した。「人―自然」の関係は、「人―人」「人―社会」そして「自然―自然」の関係に影響を与える。それが生態系にとっては人為的かく乱としての脅威をもたらすということ、また、既存のかく乱がある地域ほど、新たな人為的かく乱には脆弱であることから、日常的な生態系保全の重要さも確認した。そのうえで、外来生物問題を法的に検討した。外来生物をめぐる政策の基本として要求されるのは、予防原則に基づく法制度の導入である。
Original languageJapanese
Pages (from-to)78-85
Journal東海の科学史(科学史学会東海支部)
Volume7
StatePublished - 2006/07

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