Abstract
本件では、公職選挙法251条の規定により遡って市会議員の職を失ったYが、市会議員として行った活動をどのように評価するかが問題となっている。同条の規定により当選の効力は遡って失われることに加え、同条が当選の遡及的無効を規定した趣旨に照らせば、Yが失職するまでに行った活動は、正当に選挙された市会議員による議員活動および政務活動(調査研究活動含む)ではないというほかなく、X市との関係で価値を有しないものと評価せざるを得ない。このような考えに一貫している本判決は、妥当といえる。
さらに、選挙犯罪を行い議員資格を失う場合には、いわゆる百日裁判で早期に決着がつくにもかかわらず、不当利得返還請求権として労務提供の反対給付に係る利益の保持を、許容する必要はないと考える。なお、本判決の影響は、河合案里事件のような国会議員 だけでなく、一般職の公務員にも及び得るので、筆者としても、重要な判例として更に検討を深めたい。
さらに、選挙犯罪を行い議員資格を失う場合には、いわゆる百日裁判で早期に決着がつくにもかかわらず、不当利得返還請求権として労務提供の反対給付に係る利益の保持を、許容する必要はないと考える。なお、本判決の影響は、河合案里事件のような国会議員 だけでなく、一般職の公務員にも及び得るので、筆者としても、重要な判例として更に検討を深めたい。
Original language | Japanese |
---|---|
Pages (from-to) | 99 |
Number of pages | 109 |
Journal | 明治学院大学法と経営学研究所年報 |
Volume | 6 |
State | Published - 2024/09/27 |