HTLV-1 Taxによる恒常的TAK1活性化の生理機能解析

  • 鈴木, 俊輔 (Principal Investigator)

Project Details

Abstract

本研究は、申請者が既に報告しているHTLV-1 Taxによる恒常的TAK1活性化(J. Biol. Chem. 2007)の生理機能を明確にし、ATL発症機構の一端を明らかにしようとするものである。解析にあたり、HuT-102(Tax陽性HTLV-1感染細胞)にshRNA発現ベクターを導入し、TAK1ノックダウン細胞を樹立した。DNAマイクロアレイ解析の結果、luciferaseに対するshRNA発現ベクターを用いて樹立したコントロール細胞と比較して、1.5倍以上の発現変動がみられた遺伝子が582種類見つかり、CXCL10やCCL5といったインターフェロン応答関連遺伝子が多数含まれていた。主要な遺伝子については、Taxノックダウンによっても発現変動することをRT-PCRにて確認した。シグナル伝達系を解析した結果、IRF3(Ser-396)およびSTAT3(Ser-727)リン酸化が低下していた。特に、IRF3リン酸化はTax陽性細胞において特異的に認められ、Taxのノックダウンによって抑制された。また、IRF3のkinaseとして知られるTBK1のノックダウンは、IRF3リン酸化およびCXCL10,CCL5S遺伝子発現を抑制した。一方、HTLV-1感染細胞での発現亢進が知られるIRF4との関連性を調べた結果、IRF4のノックダウンはCXCL10,CCL5遺伝子発現を亢進し、IRF3とのダブルノックダウンではこの亢進は抑制された。現在、TAK1ノックダウン細胞にTAK1遺伝子を導入し、上記機能抑制の回復がみられるか検討を行っている。以上の結果は、TAK1を介したTaxとIRF3との関連性を示しており、他にこのような報告はない。今後、IRF3を介した生理機能が明らかになれば、Taxによる病態制御について、有用な情報を与えることが期待される。
StatusFinished
Effective start/end date2008/01/012009/12/31

Funding

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥3,302,000.00

Keywords

  • HTLV-1
  • Tax
  • TAK1
  • IRF3
  • IRF4