3種類の胃プロトンポンプトランスポートソームの機能と環境基盤の解明

  • 酒井, 秀紀 (Principal Investigator)
  • 森井, 孫俊 (Co-Investigator(Kenkyū-buntansha))
  • 田渕, 圭章 (Co-Investigator(Kenkyū-buntansha))

Project Details

Abstract

本研究では、胃酸分泌細胞アピカル膜(分泌膜)の胃プロトンポンプ(H^+,K^+-ATPase)の調節機構における、脂質環境とK^+-Cl^-共輸送体(KCC4)の役割について検討した。ブタ胃粘膜からアピカル膜に富むベシクル(SAV)を調製し、SAVを界面活性剤のCHAPSで処理することにより、脂質ラフトに対応するdetergent-resistant membranes(DRM)画分と、非ラフトに対応するnon-DRM画分を単離した。SAVの胃プロトンポンプ活性はmethyl-β-cyclodextrin (MβCD)処理による脂質ラフトの破壊で顕著に減少し、水溶性コレステロールの添加によるラフトの再構築で元のレベルにまで回復した。SAVにおいて、H^+,K^+-ATPaseはDRMとnon-DRMの両方の画分に分布している一方、H^+,K^+-ATPaseと分子会合しCl^-輸送に関与しているKCC4は、DRMにのみ分布していた。MβCD処理後、H^+,K^+-ATPaseはDRMにおいて観察されなくなり、non-DRMにのみ分布した。一方、KCC4の分布はMβCD処理により影響を受けなかった。H^+,K^+-ATPaseとKCC4を安定共発現させたHEK293細胞においても、H^+,K^+-ATPaseはDRMとnon-DRMの両方に分布する一方、KCC4はDRMのみに分布した。またMβCD処理後の分布パターンもSAVの場合と同様であった。H^+,K^+-ATPase-KCC4共発現細胞のH^+,K^+-ATPase由来プロトン輸送活性は、MβCD処理により顕著に減少し、水溶性コレステロールの添加にょり回復した。以上のことから、アピカル膜の脂質ラフトに存在する胃プロトンポンプは、異なるラフトに存在するKCC4と連関し、アップレギュレーションされているものと考えられた。
StatusFinished
Effective start/end date2008/01/012009/12/31

Funding

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥7,200,000.00

Keywords

  • 胃酸分泌細胞
  • アピカル膜
  • 界面活性剤
  • コレステロール
  • 脂質ラフト
  • カベオラ
  • プロトンポンプ
  • トランスポートソーム
  • 細管小胞
  • カベオソーム