遺伝子改変マウスを用いた新規精神疾患関連遺伝子shatiの機能解析

  • 石丸, 直樹 (Principal Investigator)

Project Details

Abstract

近年、神経・精神疾患に関係すると考えられる新規機能タンパク質shatiが同定された。shatiは、ドパミントランスポーターの機能抑制を阻止すること、薬物依存の形成を抑制することなどが明らかになっているがその詳細な生理機能は明らかになっていない。本研究では、新規精神疾患関連遺伝子shatiの機能を解析するために、shati遺伝子ノックアウトマウス、shati遺伝子過剰発現マウス、コンデンショナルshati遺伝子発現マウスを作製した。これらの作製した遺伝子改変マウスを用いて、不安、うつ病、認知障害などにshatiが関与しているのか、現在、行動薬理学的実験により解析中である。また、shatiはドパミントランスポーターの局在やドパミン取り込みに関与することが明らかとなっている。そのため、ドパミン取り込み機構に関与するshatiの分子機能を詳細に解析するためにshatiのN-末端側、C-末端側を欠損させた変異体発現ベクターを構築した。現在、これらのshati変異体発現ベクターをラット副腎褐色細胞腫(PC12)に過剰発現させ、その機能を生化学的、分子生物学的実験法により解析中である。新規機能分子であるshatiにはまだ明らかとなっていない生理機能があることが予想され、本研究によりその生理機能が示されれば、薬物依存形成メカニズムばかりでなく複雑な脳の分子メカニズムを理解する一助となることが期待される。さらに、本研究によりshatiと神経・精神疾患との関連が解明されれば、神経変性疾患や精神疾患モデル動物を用いshatiの遺伝子治療を試みる計画である。
StatusFinished
Effective start/end date2010/01/012011/12/31

Funding

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥3,900,000.00

Keywords

  • shati
  • 精神疾患
  • ドパミン