Project Details
Description
Outline of Research at the Start
胆道閉鎖症(BA)の疾患メカニズムは未だ解明されていない。我々はこれまでBAの病態が母親由来キメラ細胞によるGVHD様の免疫関連疾患であるとする仮説に基づいた解析を行っている。 今回我々は、臍帯血に存在する母親由来免疫担当細胞の分析に注目した。臍帯血はBA患児の妊娠中に起こる免疫・寛容の現象に近い状況を再現するものであり、臍帯血での免疫担当細胞の分析はBA病因の本態に迫る研究となる。本研究では、臍帯静脈血における母親由来キメラ細胞のphenotypeと制御性T細胞の役割を解明することで、母親細胞との免疫と寛容のバランスを検索し、胎生期からの診断と発症予防を目的とする。
Outline of Annual Research Achievements
胆道閉鎖症は新生児期から乳児期早期にかけて、肝内外胆管の閉塞に伴う黄疸、灰白色便、胆汁うっ滞に伴う肝障害を主症状として発症する。我が国では10000出生に1人、年間約100例が発症する。治療法としては肝門部肝空腸吻合術(葛西手術)が標準術式として確立されているが、減黄不良に伴う肝不全や、黄疸の改善後も進行する肝線維化、あるいは反復する胆管炎のため、思春期までに約半数が肝移植を必要とする難病である。 本研究では多施設共同研究により、Maternal Microchimerismと胆道閉鎖症の発症メカニズムとの関連を明らかにすることで、母親細胞との免疫と寛容のバランスを検索し、胎生期からの診断と予防方法の解明を目的とし、新たな治療法への架け橋となることを目指している。 臍帯血は生後の様々な抗原刺激を排除したBA患児の妊娠中に起こる免疫・寛容の現象に近い状況を再現するものであり、臍帯血での免疫担当細胞の分析はBA病因の本態に迫る研究となると考え、Maternal microchimerismと胆道閉鎖症の疾患メカニズムとの関連が明らかになれば、胎生期からの診断と予防方法の解明、また新たな治療の開発、ひいては肝移植に依らない自己肝生存率の改善に大いに寄与することが期待できる。 フローサイトメトリーの設定や放射線照射機器の故障などにより、開始が遅れていたが、BA患児末梢血中の母親由来細胞の定量および母親・BA患者間の混合リンパ球試験を開始することが出来ている。今年度はこれらの結果について臨床像や葛西手術時の肝生検検体とも照らし合わせ、母・患者間の末梢血リンパ球の免疫反応性を関連施設内での非BA同胞抗原に対する反応と比較することで、これらの免疫・寛容の状況と肝予後との関連を検討している。
Status | Finished |
---|---|
Effective start/end date | 2020/04/01 → 2023/03/31 |