網膜機能障害における血液網膜関門クレアチン輸送担体発現変動機構

  • 中島, 寿久 (Principal Investigator)

Project Details

Abstract

本研究はクレアチン輸送変動メカニズムの解明を目的として解析を行った。昨年度は作成したmycHisタグを付けたクレアチン輸送担体(Creatine transporter, CRT)安定発現細胞株HEK293(CRTmycHis/HEK)細胞を用いて、クレアチン添加した細胞培地中でプレインキュベーションすることで(クレアチン処理)減少する[^<14>C]クレアチン取り込みは、細胞膜上に発現するCRTの減少によるものであることが示唆された。そこで本年度は、ビオチン-アビチン処理により細胞膜タンパク質を調製し、ウエスタンブロット解析により1時間クレアチン処理での細胞膜上に局在するCRTmycHisの変化を解析した。その結果、total lysateにおいてはクレアチン処理、未処理共に変化はなかった。しかしながら、細胞膜タンパク質画分においては、クレアチン処理によりCRTmycHisを示すバンドは有意に濃くなった。さらに、超遠心法を用いて調製したcrude membrane画分を用いた解析においても同様の結果が得られた。このことから、クレアチン処理により、細胞膜上に局在するCRTmycHisが増加することが示唆された。この結果は[^<14>C]クレアチン取り込みで得られた結果とは異なる結果であった。本年度は、さらにプロテインキナーゼCを介したクレアチン輸送変動メカニズムにも着目して解析を行った。本解析では細胞にHEK293(CRTmycHis/HEK)細胞、プロテインキナーゼC活性化剤にphorbol 12-myristate 13-acetate (PMA)をそれぞれ用いた。[^<14>C]クレアチン取り込みはPMA処理時間および処理濃度依存性が示され、1時間,500nM PMA処理では、未処理と比較して49.0%減少した。さらに、[^<14>C]クレアチン取り込みの濃度依存性解析の結果、1時間,500nM PMA処理条件下では未処理と比較してKm値は変化がなく、Vmaxは38.0%減少した。さらに、1時間,500nM PMA処理条件下で調製したサンプルを用いてウエスタンブロット解析を行った結果、total lysateではPMA処理、未処理共にCRTmycHis発現量に変化はなかった。しかしながら、ビオチン-アビジン処理により調製した細胞膜タンパク質画分においては未処理と比較して1時間,500nM PMA処理において22.9%減少した。以上の解析結果から、PMA処理により細胞膜上に局在するCRTが減少することで、[^<14>C]クレアチン取り込みが減少することが示唆された。
StatusFinished
Effective start/end date2005/01/012006/12/31

Funding

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥1,800,000.00

Keywords

  • クレアチン輸送担体
  • CRT
  • クレアチン輸送
  • 輸送制御
  • CRT安定発現株
  • クレアチン
  • CRT安定発現細胞株