硬組織に対する迅速な脱灰法の検討―染色性の保持を目指して―

  • 八田, 秀樹 (Principal Investigator)

Project Details

Abstract

超音波照射時に作用するキャビテーション発生は、超音波強度と周波数に委ねられる(キャビテーション閾値)。予備検討ではD-マンニトールによるフリーラジカル消去効果について検討したが、30%のD-マンニトールにはフリーラジカル消去効果の他に高粘度によるキャビテーション閾値上昇効果(キャビテーションが起こり難い)があり、結果的に機械的作用による組織・細胞破壊を軽減できた。更に、実験用に購入した牛骨や剖検例の椎骨を用いた各種条件下(脱灰時間を30分毎に最長120分)での脱灰試験について、超音波照射下での脱灰法は通常の放置法の半分の時間で脱灰が進行する結果を得た。また、ギ酸を用いた脱灰試験では、D-マンニトール添加の有無に依存することなく全てのサンプルで良好な染色性(H・E染色や複数抗体による免疫染色)を確認できた。これは、ギ酸そのものにキャビテーション閾値上昇効果があると推察された。以上より、ギ酸と超音波を併用すれば迅速性と染色性に富んだ脱灰が可能となることが示唆された。
StatusFinished
Effective start/end date2012/01/012012/12/31

Funding

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥500,000.00

Keywords

  • 脱灰法
  • 超音波
  • キャビテーション