Project Details
Abstract
次に、後者書込み資料については、パリ国民図書館所蔵の満漢『千字文』をとりあげた。この資料には原本の満洲字および漢字の右傍に後人がハングルで注音を施した部分が見られるが、このうち満洲字に付されたハングル注音をすべてコンピュータに入力してデータベースを作製し、それをその他の清学書に見られるハングル注音や満洲語諸資料に現れる語形等と比較検討した。その結果、この資料の満洲字ハングル注音は、概ねは逐字対音的な性格を帯びるものの、ある場合には、満洲字の字面にとらわれず当該満洲字綴りの実際の発音を考慮して注音を施したと考えられるものがあることが確認された。この点において、この資料は満洲語の表記法および音韻史の研究に寄与しうるものであることが明らかとなった。この資料の資料的価値を論じたものは今まで皆無であったので、それを試みた本研究は一定の意義があると信じる。
Status | Finished |
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Effective start/end date | 1994/01/01 → 1994/12/31 |
Funding
- Japan Society for the Promotion of Science: ¥900,000.00
Keywords
- 朝鮮司訳院
- 清学書
- ハングル注音
- 満洲語音韻史
- 満洲語表記法