バクテリアマットと地球化学的プロキシによる日本海東縁地殻変動解析の試み

  • 張, 勁 (Principal Investigator)

Project Details

Abstract

観測は8月に「長崎丸」NA220,9月に「なつしま」NT06-19,及び10月に「淡青丸」KT06-26にて,メタンプルーム海域及びその周辺で行った。無人潜水艇ハイパードルフィン潜航によって,バクテリアマット域付近に厚さ4〜5mの大規模メタンハイドレート(以下MH)層露頭が日本近海では初めて発見された。その周囲に堆積物で覆われた巨大なMHのブロック(A:100cm×80cm×25cmとB:15cm×15cm×25cm)を見つけ,別々に浮上観察を行った。その結果,AとBで浮上時の状態変化が異なり,大きいブロックAの破片は海洋表層に到達した。大学研究室の光学実態顕微鏡(液体窒素環境下)でMH結晶の内部構造を観察したところ,MH化率の違いがあると分かった。つまり,深海底にあるMHが何らかの原因で海底を離脱し,その結晶状況やサイズによって分解する前に海洋表層に到達し,メタンガスとして大気へ放出する可能性が示唆された。また,深層・浅層海水中の塩分・水温及び塩素・酸素同位体比等の結果と合わせて,佐渡南西沖メタンプリューム海域におけるメタンの実態は,下記のようにまとめることができる:(1)海底より離脱するメタンは溶存態・ガス態・MH微粒子の三態からなる。(2)泡状態のメタンガスは海底を離脱後,上昇すると共に海水密度低下に伴い泡が次第に膨張しながら表面にMHの微少結晶粒子が形成され,やがて海水中に溶解/消滅する。その結果,中層水中においてメタンが溶存態として巨大なプリュームを作る。(3)MH微粒子は海水中の水及び溶存メタンガスから生成されながら上昇し,温度躍層を越え浅層水で分解する。
StatusFinished
Effective start/end date2005/01/012006/12/31

Funding

  • Japan Society for the Promotion of Science: ¥3,400,000.00

Keywords

  • 佐渡南西沖
  • メタンハイドレート
  • メタン化率
  • メタンプルーム
  • 溶存態・ガス態・ハイドレート態
  • 崩壊
  • 溶解
  • バクテリアマット
  • 地球温暖化
  • 塩素同位体比
  • 化学的プロキシ
  • 変色域
  • 化学合成群集
  • 日本海東縁
  • 地殻変動
  • 地震